草津川跡地利用についての市政トークを通じて、今まで草津川の問題について取り組んでいた

NPOが一つに合流しました。以下の文章は、草津川の跡地利用についてまとめてくれた学生

さんの思いです。

 

 草津川跡地利用について考える際に必要なことは、旧来型の行政主導による計画決定ではなく、

市民と行政がパートナーシップのもとで計画について互いの能力を生かしながら考えていくことだと思います。

確かに、従来型の計画決定でも事業は進むでしょう。しかし、それではあの貴重な生活空間は生きないと

思います。


 旧草津川は今まで様々な影響を草津市に与えてきました。ある時は洪水、ある時は桜並木、ある時は生活

用道路、ある時は散歩道。先日一定の役割を終えたこの空間を、次は今までの歴史を踏まえた形で、保存する

にせよ、手を加えるにせよ、新たな生活空間として創造することが大切と考えます。そのためには、やはり従来型の行

政主導の計画決定ではなく、新たな計画決定手法を導入すべきだと考えます。しかしそれには、市民は旧来型の行

政への要望・批判型から脱却し、行政も市民の要望受け入れ型、形だけのパートナーシップから抜け出さねばなりません。

決して平坦な道ではないと思いますが、この問題に取り組むことは草津市にとって大きな意味があると思います。


 その中の1つの課題として、人間関係で行き詰まらないように注意すべきでしょう。もちろん議論は大切ですが、

人間関係でこじれないように。これは市民間でもそうですが、これから行政や他の団体との連携を図る際にも注意すべ

きだと考えます。こういった活動は、今まで市民も行政も経験のないことなので、すぐに従来の市民・行政間のことを念頭

に話しをする可能性があります。そうなった際は、1つ1つそのこじれを丁寧に解きほぐしていくべきでしょう。
 

 今回の課題に取り組む中で、市民活動に対する理解が草津市において少し進むと思います。単にこれから先は

市民活動が必要だからという理由では、なかなか市民活動は広がらないと思いますが、具体的に目の前にある課題に

取り組むことで、旧来型の問題解決手法ではできない解決が、市民活動であれば可能であると分かった時に、初めてそ

れに対する一般の人の理解が進むと思います。そうでなければ、市民活動は興味ある人の単なる自己満足になると思い

ます。特定の人の自己満足では周囲にその想いは伝わらないし、他の人はそれに巻き込まれたくはないでしょう。
 

 今回の課題に取り組むことで、これから先、草津市における地方自治のあり方も変わると思います。この動きは後に福

祉や教育など、他の課題にも波及することでしょう。なぜなら、旧草津川の課題解決には草津市全体が取り組まねばならず、

この空間は単なる川の跡地ではなく、草津市の生活空間だからです。
 

 僕が今回のプロジェクトについて考える際に参考にしているものがあります。それは、建築家安藤忠雄さんの考え方です。

発端は2ヶ月ほど前に読んだ『安藤忠雄 建築を語る』(東京大学出版)でした。安藤忠雄という名前は以前から知っていまし

たし、テレビにも時折出ているのでそれを見たことはありました。その時は特に本を読んでみようとまでは思わなかったのですが、

何か面白そうな人だなとは感じていました。

 最近建築に興味を持ち始めたので何か読んでみたいと思い、図書館で最初に手に取った本が安藤さんの本でした。先の本

は彼が東京大学で講義をした際の講義録ですが、実に興味深い本で、彼の建築に対する考えから、彼の生き方に至るまで書

いてあります。その中で、今回のプロジェクトに参考になると思ったことを2つ挙げたいと思います。1つは建築には様々な人の連携

が必要であるということ。もう1つは、建築と歴史についてです。

 1つ目の連携についてですが、彼は、建築はクライアント・建築家・大工・行政などが連携しないといいものはできないと考えてい

ます。建築家が自分にとって理想の設計をしたとしても、そこには必ず、クライアントの要望・予算、大工の考え・技術、法律による

規制などが存在し、建築家の理想だけでは形になりません。そこでこれらの課題について調整することになります。それについて

彼は、『建築家の思いとクライアントの思いは往々にして相反するものであり、時には衝突もありますが、それを互いに「対話」するこ

とにより乗り越えていく、それが「建築家」という職業です。またそのような人との出会いのなかにこそ、この職業の面白さ、難しさがあ

るのではないかと思います。』と述べています。同じことが他の関係者にも言えると思います。


 また、建築と歴史との関係では、単に現在のことだけを考えるのではなく、その土地の歴史、そして未来のあるべき姿を考えてそれ

を現在の形にすることを心がけていると述べておられます。
 

 私は上記の2つの考え方は、天井川プロジェクトにも言えることだと思います。決してプロジェクトのメンバーだけで今回の目的が達

成できるわけではなく、町内会や各種団体、草津市役所や滋賀県庁などの力全てが必要になります。しかし、今までの経緯から

はっきりしているように、市民対行政の議論またその手法にも限界があります。新たな議論の手法、また、市民同士がもっと議論する

必要があると思います。このプロジェクトの目的の1つはそういった場を設けることにあると思います。

 さらに注意すべきこととして、このプロジェクトは現在の跡地利用問題にとらわれることなく、草津市全体の大きな流れ、過去・現在・

未来の流れの中で跡地利用について考えることを忘れるべきではないと思います。

 今まで少しずつプロジェクトを進めてこられましたが、いよいよこれからは、ワーキンググループとして仕事に取り組みながら、さらに深く

考えていく段階だと思います。まずは動きはじめることではないでしょうか。その中でまた新たな問題も出現し、またその問題も解決して

いくことと思います。